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【坊主めぐり】いつでも自然体で生きる猫との暮らし中で得た気づきとは。猫と人のご縁を結ぶ通称「ねこ寺」。曹洞宗萬象山 御誕生寺住職 猪苗代承峯さん

更新日時: 2022/04/04(月)

こちらのお寺の成り立ちを教えてください。

福井にある曹洞宗萬象山御誕生寺にいるたくさんの猫たちに会いに観光しましょう。

御誕生寺は、平成になってからできた新しいお寺です。

曹洞宗には永平寺(福井県)と總持寺(神奈川県)の二大本山がありますが、そのうち總持寺を開いた瑩山禅師は、この武生が生誕の地と伝えられています。

そのご縁を大切にしようと色々な方のご支援が集まり、期も熟し、瑩山禅師ご誕生の地のお寺ということでこの御誕生寺が建てられました。

 

このお寺は修行寺で現在8名のお弟子さんと寝食を共にしており、日常の一つとして猫のお世話もしています。

修行中は寂しくなる時、つらくなる時もあるでしょう。そんな時、猫はストレスを和らげてくれる存在になっているかもしれません。

動物に助けてもらうということで、何か一つのいい気づきになればと思います。

 

ご住職は御誕寺でお生まれになったんですか?

福井に観光に来たらたくさんの猫に会えるのが魅力の曹洞宗萬象山 御誕生寺へ行きたい。

いえ、私のお里は宮城県の気仙沼です。

父は歯医者、祖父は医者という、4代続くお医者さんの家の長男として生まれました。ですが、なぜかお墓参りに行くたびに「将来はお坊さんになるんだろな~」という感覚が小学校1年生のころからあったんです。

 

そして、前住職の和尚さんが總持寺の貫首だった時に頭を剃っていただいて、仏門に入りました。

それから数十年経ち、京都の臨済宗大徳寺で4年ほど修行していた頃に、90歳手前になった和尚さんから自分の後を継ぐのに帰って来ないか?と声をかけられました。

後を託されるというのはなによりも仏縁が深いことだと、その答えに迷いありませんでした。何よりも宮城の気仙沼で生まれ、お坊さんになったのはこの御誕生寺を継ぐためだったのだと思うと、何よりも深い縁を感じます。

 

通称「ねこ寺」と呼ばれていますが、そのように呼ばれるきかっけは何ですか?

福井に観光に来たら曹洞宗萬象山 御誕生寺へたくさんの猫に会いに行きたい。

当時の住職興宗和尚がある日、境内で子猫が4匹、段ボールに入って捨てられているのを見つけました。

その猫たちに水や食事を与えるなど、慈悲の心で必要最低限のお世話をしていたことがきっかけです。やがて猫は4匹から6匹、8匹、10匹に増え……中には猫を捨てに来る人もおり、だんだんと猫の数が増えていきました。私が平成24年3月にこのお寺に来た頃には、80匹ほどいたと思います。

 

その頃から本格的な保護活動や里親募集を始めました。ただ、里親募集といってもそう簡単に決まる話ではありません。

ブログやFacebookなどのSNSを活用して猫の様子をこまめにアップ。みなさんの癒しになればいいなと発信を続けました。そういった地道な活動がきっかけで、少しずつ注目を浴び広く知れ渡わたるようになり、そのおかげでご縁が結ばれ引き取られた猫は、300匹~400匹近くになります。

観光には福井にある御誕生寺へ別名「ねこ寺」

数年前に猫ブームがありましたが、これをブームで終わらしてはいけない。これをきっかけに動物愛護につながる良いムーブメントになればと思い、譲渡会を始めました。

お寺の譲渡会で猫とご縁があると、招き猫になってくれて縁起がよさそうだと言ってくれる方が多く、縁結びのお寺とも言われるようになりました。

 

多頭飼い飼育で困っているので引き取ってほしいという要望もありますが、お引き取りはお断りしています。

すべての猫が避妊、去勢しているので繁殖することもなく、現状回復というかたちで保護活動をしています。今は23匹の猫がいますが、最終的には保護猫はゼロを目指しています。

 

膝や肩に可愛らしく猫が乗っている大仏さまがいらっしゃいますが、とても珍しいですよね。

福井にある曹洞宗萬象山 御誕生寺へは猫を抱いた大仏様を見に観光に行きたい。

屋外に建立されている大仏さまの中では、北陸最大級の大きさです。猫が2匹乗っていることも特徴ですが、もしかして数百年前であれば、なんて罰当たりな!と言われるかもしれませんが、こういう時代だからこそ伝わるものもあると思っています。

 

この先100年、200年経った先のストーリーを想像しています。

お寺から猫がいなくなり、誰かが「どうしてあの大仏さまには猫がのっているの?」と尋ねたときに、「昔ね、ここの和尚さんたちが捨て猫を保護してご縁を見つけてあげていたんだよ。だからこのお寺に縁結びで手を合わせにくる人がいるんだよ」という風に、お寺の由縁が伝わっていくのって素敵じゃないですか?

 

ご住職にとって猫とはどんな存在でしょうか?

これまで猫と暮らしたことがなかったので、正直最初は狂暴、引っかかれる、怖いといった先入観がありました。

つまりそれは「猫」というひとくくりでしか見てなかったんですね。人は一人ずつ性格が違うように、猫も一匹ずつ性格が違います。猫と向かい合ううちに、物ごとの味方はひとつではないと教えてくれました。

 

ご誕生寺さんに来られた方にはどんなお気持ちになってほしいですか?

福井の観光へはお気軽に御誕生寺へ

こういうお寺にしたいという気持ちは、全くないんですよね。水を丸い器にそそぐと丸くなり、四角い器にそそぐと四角くなるように、お寺も柔軟なものでなくてはならないなと思っています。それに、猫と一緒にのんびり過ごしている方を見ると、今の現代人が求めている理屈では言えない答えや居場所というのが、ここにはあるのではないかなと感じます。

自分のためにお参りをしたり、何かのために願をかけるだけではなく、生きとし生きるものすべてが幸せであるようにと願うこと、また自分のことよりも他人の幸せを願う人が一人でも増えてくれたらいいなと思います。

 

人間が猫から学ぶべきこととは、どんなことでしょうか?

福井の観光には御誕生寺のねこに会いに行くのもおすすめです。

動物は嘘がつけないし、演技ができない。ありのままで生きています。たとえば人間のように他人の視線を気にすることもないですから、あの人の前だからこうしなきゃ、など裏表が全くないんです。そう生き方は、人間も学ばなくてはいけないなと思いますね。

 

ご住所の隣でお話を聞いてくれている、ゴールデンレトリーバー(アンディ6歳・男の子)ついてもお話を聞かせてください。

福井の御誕生寺の住職の愛犬も観光を楽しませてくれる

ここで働くスタッフさんに、盲導犬協会の訓練士のキャリアがある人がいまして、その方からみんなが盲導犬になれる訳ではないことや、試験に落第した子はキャリアチェンジ犬になることなどを教わりました。この子は、京都の亀岡にある関西盲導犬協会で生まれたアンディという男の子で、そのキャリアチェンジ犬です。

 

20年くらい前に「身体障害者補助犬法」というのができて介助犬、盲導犬、聴助犬は障がい者にとって身体の一部であるから、デパートやお店へ一緒に入店できるということは法律で認められました。それにも関わらず入店を拒否をされるなど、まだまだそうなっていないのが現状です。

介助犬は障がい者にとって体の一部ということを分かってほしいという思いから、目が見えない人の目線になって歩いてみるなどの活動を、今後境内でできたらいいなと思っています。もっともっとこの子たちが活躍できる場があるのではないかなと考えています。

 

最後に、福井市の魅力はどんなところにあると思われますか?

 

私は福井市で生まれ育った人間ではないので、客観的に見られていると思うのですが、福井に来て1番最初に思ったことは水が美味しい、そしてお米が美味しいということでした。

越前そばも好きですね。食感がごわごわしていたので、最初の頃はあまり得意ではなかったんですが、8年経った今では東京や名古屋では蕎麦を食べる気にならないほどです。

 

福井県全体においては、せっかく「幸福度ランキングで1位」と思われているのだから、その幸福度の内容を具体的に明らかにしていくことが、福井の観光をアピールしていくうえで、面白くなる要素だと思います。他県の方から、どんなところが幸福なのかを聞かれたときに、福井独自の考えを言える準備をしておくことが大切ですね。

 

猫の保護活動や譲渡会を続けつつ、これからはキャリアチェンジ犬のアンディとの活動もしていけたらと話すご住職。緑に囲まれた境内は、自然、猫、そして犬、人間それぞれが、それぞれを尊重し合う優しい空気に包まれていました。心の緊張や日常に疲れを感じたならば、御誕生寺さんで猫と一緒に、ゆったりとした時間を過ごしてみませんか。

 

曹洞宗  萬象山 御誕生寺 

《住所》〒915-0043  福井県越前市庄田町32 

《TEL》0778-43-6081

《拝観時間》 8:00-17:00

《定休日》年中無休

《Instagram/Facebook》@gotanjyouji