福井名物ソースカツ丼の元祖「ヨーロッパ軒 総本店」を徹底深掘り! 創業100年以上の歴史やおいしさの秘密、隠れた人気メニューまで完全ガイドします。
福井を代表する名物「ソースカツ丼」。
食べられる店は多く、なかでも元祖ソースカツ丼の店として知られる「ヨーロッパ軒 総本店」は観光客が行列をつくる人気店です。
誕生秘話や元祖としての味のこだわり、地元民に愛されるソースカツ丼以外のヒットメニューなど100年以上続く老舗の秘密を深掘りします。

改めて、ソースカツ丼とは?
福井のソウルフード「ソースカツ丼」を簡単におさらいします。特徴は、薄くスライス、または叩いて薄くのばした豚肉をきめ細かいパン粉をつけてカラッと揚げ、熱々のうちにソースに絡めたカツをごはんにのせた丼メニュー。食堂や蕎麦屋で食べたり、スーパーで購入したり、給食に出たりと、福井県内では大人から子どもまで幅広く愛される味です。
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福井名物「ソースカツ丼」とは?
ソースカツ丼は、福井県の老舗洋食店「ヨーロッパ軒」が発祥で、カツ丼と言えば玉子とじのものが一般的にイメージされる中で、福井(市)では家庭でも飲食店でもソースカツが一般的です。
越前おろしそばと並ぶ福井グルメのツートップに君臨するソースカツ丼の歴史や味わいについてご紹介します。

ヨーロッパ軒の歴史を紐解く
創業者が福井に帰郷し店を構えたストーリーや、受け継がれる過程での苦労、多くの店にヨーロッパ軒の味やソースカツ丼が広がった背景などを紹介します。
創業者の高畠増太郎氏が、ドイツ・ベルリンの日本人倶楽部で6年間の料理留学を終えて、明治45(1912)年に帰国。翌、大正2(1913)年、東京都早稲田鶴巻町(新宿区)にヨーロッパ軒が誕生しました。また同年東京で開催された料理発表会で「ソースカツ丼」を初披露し、「ヨーロッパ軒のソースカツ丼」の歴史がスタートを切りました。
屋号の「ヨーロッパ軒」は、高畠氏がヨーロッパで修業をしたことに由来。当時は“ハイカラ”なネーミングだったそう。
関東大震災を機に大正13(1924)年、ふるさと福井市に家族揃って戻り、現店舗の数軒先で店を再開。戦争や福井地震を乗り越えて現在までにのれん分けで19店舗に増やし、福井県では早くから「カツ丼といえばソースカツ」と認知されるように。創業から味を変えることなく、令和6(2024)年には、福井市に店を構えて100周年を迎えました。
全国的にはこの30年近くで知名度が上がり、週末や祝日には1時間待ちとなるほど。営業時間を超える長い行列ができた場合はストップをかけることもあります。
とはいえ、注文すると10分前後でテーブルに提供される丼メニューなのでご安心を。
おいしさの秘訣とこだわりは?
人々に愛されるヨーロッパ軒の秘密を四代目店主に直撃インタビュー。
創業100年以上の元祖としてのこだわりを伺います。
- 福いろ編集部
- お肉について、ここだけの話を教えてください!
- ヨーロッパ軒総本店 四代目・高畠さん
- 初代が学んだドイツ料理の「シュニッツェル」をヒントにしました。薄くスライスした上質のロース・モモ肉に細かいパン粉を付けて揚げたものがソースカツとして定着。創業当時は牛肉を使ってラード(豚の脂)とヘット(牛の脂)で揚げていましたが、今は豚肉をラードだけでカラッと揚げています。
- パン粉の特徴は?
- ヨーロッパ軒総本店 四代目・高畠さん
- パン粉の細かさは当時のまま。細かいパン粉はソースの絡み具合もちょうど良く、油っぽくならずにサクッと軽く食べられるのが一般的なトンカツと違うところ。カツの下にキャベツの千切りを敷かないのはこってりしていないからです。
- 福いろ編集部
- ソース味が好まれた理由は?
- ヨーロッパ軒総本店 四代目・高畠さん
- ドイツ仕込みのウスターソースをベースに、初代が試行錯誤を重ねていろいろな香辛料を使って完成させた秘伝のソース。そのイメージは「卵かけごはん」です。白米との相性を考えた結果、日本人の味覚に合ったのだと思います。ツーンとした酸味と甘味のバランスが良いんですよ。“追いソース“がついているのでお好みでお使いください。
ソースカツ丼以外のメニューも大公開
ヨーロッパ軒の人気NO.1メニューは「ソースカツ丼」1,180円ですが、実は専門店ではありません。地元民から愛される「パリ丼」の誕生秘話や女性に人気のランチセットを大公開。
「パリ丼」1,180円
きれいな形のメンチカツが2枚。総本店では豚肉とあめ色に炒めた玉ネギを使いジューシーに仕上げました。「肉の切れ端がもったいない」という思いからスタートしたメニューは、今ではソースカツに続く人気ぶり。総本店二代目と敦賀店初代がヨーロッパに視察に行き考案し、ヨーロッパといえばパリ!パリッと揚げたメンチカツ!ということでネーミングされたそう。
「Bランチセット」1,380円
ソースカツ2枚、ジューシーなハンバーグ、目玉焼きとスパゲティがワンプレートになった人気のセットです。「ランチセット」ですが、実は1日中注文可能なので夜ごはんとしてもおすすめ。
「3種盛スペシャルカツ丼」1,380円
ソースカツ1枚、エビフライ1本、メンチカツ1枚の3種類がのった別名「トリオ丼」。+500円で牛カツを1枚追加して4種盛にすると無敵です。カツはもちろん、プリプリのエビフライも侮れません。
そのほか常連客にはオムライスも人気で、某人気芸能人が福井でコンサートを開催した際「ヨーロッパ軒のオムライス食べたよ~」とファンに報告した翌日から「店は大変なことになった」という逸話も。
ヨーロッパ軒総本店のエモい写真集
ヨーロッパ軒総本店は歴史を感じる店のエモさも見どころです。
①階段踊り場の看板
書体もさることながら「すてきなムードと味をおたのしみ下さい」とは心憎い!
②丼に書かれた文字
丼の底と蓋の裏に書かれた「ヨーロッパ軒」の書体もレトロ感を醸し出しています。
③有名人たちのサイン
1階、2階どちらにもサイン色紙がぎっしり!歌手、スポーツ選手、お笑い芸人などさまざまなジャンルの有名人が総本店を訪れた証。
④店内の雰囲気
何といってもこの雰囲気。ソースカツと同じく、初めての人も懐かしさを感じるはず。
⑤牛ののれん
創業当時は豚肉ではなく牛肉のソースカツを提供していたことから、店内にかかっているのれんは牛のイラスト入り。
基本情報
ヨーロッパ軒総本店
<住所>福井県福井市順化1-7-4
<TEL>0776-21-4681
<営業時間>11:00~19:50
<定休日>月曜日、火曜日
<アクセス>JR福井駅から徒歩10分
<駐車場:備考>駐車場なし

県内のヨーロッパ軒をマップで紹介
これまで多くの弟子を育てのれん分けし、2025年現在福井県内に19店舗のヨーロッパ軒があります。のれん分けには10年間の修業が必須で、「福井に食べに来てほしいから」出店は県内限定だとか。食べたいという方はぜひ福井県へ!
ここもチェック
まとめ
お酒が入るとドイツの歌を口ずさんでいたという創業者。100年続く老舗にはさまざまなストーリーがありました。味はもちろん、店のエモさも含めて総本店の魅力を堪能してください。