岡太神社・大瀧神社~大人の休日倶楽部「越前和紙の里篇」CMにも登場!
2024年10月、JR東日本「大人の休日倶楽部」テレビCM「越前和紙の里篇」に登場する岡太神社・大瀧神社は、越前和紙の神様「川上御前」を祀る神社です。「日本一複雑な屋根」として重要文化財にも選ばれている、全国の寺社仏閣ファンを唸らせる神社でもあります。この神社や越前和紙の里についての興味深い話を、一挙ご紹介します!
- ライター:Tomo & Yasu
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「日本一複雑」と称される重要文化財!
岡太神社・大瀧神社
越前和紙の里にある「岡太神社・大瀧神社(おかもとじんじゃ・おおたきじんじゃ)」。
全国にある「和紙の里」の中でも越前和紙の里ならではの特徴の一つとして、この神社の存在があるのではないでしょうか。
こちらの岡太神社・大瀧神社は、和紙のファンだけではなく、全国の神社仏閣ファンに超おすすめスポットなのです!
見どころは「日本一番複雑な屋根」として重要文化財に認められるほどの超絶技巧の「屋根」!
以前、他県TV会社の撮影隊と共に門をくぐった際、カメラマンの方が「なんだこれは…」と呟かれていました。この神社のインパクトの大きさを物語っていますね。
また、とある写真クラブの方々が訪れた際には、リーダーの方が「凄い…出来れば独り占めしたい場所ですね」と仰られていました。
■「日本一複雑な屋根」をドローン動画で堪能する!
「日本一複雑な屋根」をドローン撮影した動画をご紹介します。
このアングルはなかなか貴重ですよ~!
美しい彫刻や荘厳な境内も必見!
■美しい彫刻等も必見!
屋根の超絶技巧もさることながら、柱、側面や背面等に施された彫刻等もとても素晴らしく、ぜひ実際に見ていただきたい神社です。
側面、背面にある彫刻も必見!
側面、背面にある彫刻は、中国の故事にある物語を表しているそうですよ。
正面にある玉を持つ龍の彫刻
またぜひ見て頂きたいのが正面の柱上部にある龍の彫刻。こちらの龍は玉を持っていますが、龍の手と玉は離れておりくっついてはいないものの、掌の中に納まり落ちないようになっています。木材を組み合わせたものではなく、一つの木からくりぬかれ作られているそうです。
なお、僕はこの龍の玉を勝手に「岡太神社・大瀧神社のドラゴンボール」と呼んでいます(笑)。
■荘厳な境内
立派な赤い門をくぐると、
広い境内は独特の荘厳な雰囲気が漂っており、長い歴史や信仰を感じますね。
本殿・拝殿は、一段高くなっている場所にあります。
階段を上がり、この門をくぐると「日本一複雑な屋根」の本殿・拝殿が待ち構えている訳です。前述の「TV会社の撮影隊の方の「なんだこれは…」という感嘆の一言」は、この門をくぐった瞬間に出たものです。「その気持ち、よく分かるなぁ…」と思いましたね。
岡太神社・大瀧神社の写真は、素晴らしい屋根の形が分かるアングルのものばかりなのですが、なぜどの写真もそのアングルになるのか。それはこの門をくぐるとよく分かると思います(それも計算ずくで造られているとしたら凄い…)。
実は裏山に「奥の院」がある!
「奥の院」にある大瀧神社、岡太神社
おそらくほとんどの方々は「何故「岡太神社・大瀧神社」という2つの神社名のような名前なのだろう?」という疑問を持たれたと思います。実は岡太神社・大瀧神社の裏山を上がると「奥の院」と呼ばれる場所に「岡太神社」「大瀧神社」があり、里宮の「岡太神社・大瀧神社」はこの2神社の本殿と拝殿を兼ねていることから、2つの神社名が併記されているのです。
毎年5月に催される「紙と神の祭り」は、この奥の院から神様が神輿で渡御するお祭りとなります。
「奥の院」は里宮の「岡太神社・大瀧神社」の東側の鳥居を出て約1.1km登ります。こちらの案内板と奥の院への道は、Googleストリートビューではこの辺りになります。
このような道を進んで行くと、山頂付近に奥宮に続く立派な階段、灯篭があります。
左から八幡社、大瀧神社、岡太神社となっています。
紙の神様「川上御前」を祀る!
越前和紙の神様「川上御前」
岡太神社・大瀧神社に祀られている越前和紙の神様「川上御前」についてご説明します。
越前和紙の歴史は、1500年昔、現在の福井県越前市今立地区の五箇地区を流れる岡本川の川上に現れた女性が、農作が難しい五箇地区に紙漉きの技術を伝えたという伝説から始まります。自らのことを「川上から来た者」とだけ言い残し去っていったこの女性を、五箇地区では「川上御前」と呼び、岡太神社(おかもとじんじゃ)を建て、和紙の神様として祀ってきました。それ以来、この五箇地区は紙漉きの業を伝えています。
※国内に存在する他の「紙の神」としては、日本書紀に登場する「天日鷲神(あめのひわしのかみ)」がいます。山梨県三郷町にある神明宮(八乙女神明宮)はこちらの天日鷲神を祀っています。
製紙業界関係者や紙幣関係者が多く参拝!印刷局抄紙部にも分祀!
紙の神を祀る岡太神社・大瀧神社は、製紙業界関係者や紙幣関係者にも広く知られており、多くの人達が参拝しています。
紙幣を作っていた東京王子の印刷局抄紙部では、越前和紙と紙幣との深いつながりから、大正12年に「川上御前」が分祀されました。(この「印刷局抄紙部」は、現在の「お札と切手の博物館」辺りとなります。)
東京王子の「お札と切手の博物館」を訪れた際、職員の方に「福井の岡太神社・大瀧神社を知っていますか?」と聞いてみたところ、「もちろん!私も行きましたよ!」とのことでした!
Column
現在の紙幣にもつながる越前和紙
越前和紙は、紙幣の歴史にも深いつながりがあります。「日本初の全国通用紙幣は越前和紙」「越前和紙の神様を印刷局に分祀」「透かしは越前和紙の技法」「坂本竜馬と紙幣との関係」等、意外で興味深い話題が沢山ありますよ。
永平寺の勅使門(唐門)と同じ大久保勘左衛門による建築!
印象的な現在の岡太神社・大瀧神社は、江戸後期の1843年(天保14年)に作られました。
手掛けたのは、曹洞宗大本山永平寺の有名な勅使門(唐門)と同じく大久保勘左衛門という宮大工なんですよ!
福井が誇る永平寺と岡太神社・大瀧神社とをつなぐ、とても興味深い共通点ですね!
なお1834年(天保5年)の大瀧神社、つまり「前身の社殿」が描かれた「大瀧児大権現祭礼図絵馬」はこちらで見ることが出来ます。
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大本山永平寺
寛元2年(1244)、道元禅師によって開かれた禅の修行道場。深山幽谷の境内には70余りもの殿堂楼閣が建ち並び、中でも「七堂伽藍」と呼ばれる7つのお堂(法堂・仏殿・僧堂・庫院・山門・東司・浴室)は、僧侶が修行をする清浄な場所として特に重要な建物とされています。『永平寺』では今も多くの修行僧が日々厳しい修行に励んでおり、参拝者はその様子を伺い知ることができます。
新潮社「神々が見える神社100選」の表紙に!NHK「夢の美術館 世界の名建築100選」にも!
「神々が見える神社100選」(新潮社 芸術新潮編集部編)という本では、「岡太神社・大瀧神社」はなんと表紙を飾っています。同社の紹介文では「10万ともいわれる日本全国の神社から、選りすぐった名社を紹介」とあり、錚々たる神社を抑えて「表紙」に登場しているということが分かります(裏表紙は出雲大社!)。
岡太神社・大瀧神社は、他にも「NHK 夢の美術館 世界の名建築100選」にも選出されているんですよ!(「大瀧神社」名で選出)
平泉寺と同じく1300年を超える歴史!
岡太神社は雄略天皇の御代(457~479年)に創建されたと伝わり、「延喜式神名帳」(926年)にも記載され、大瀧神社の創建は推古天皇の御代(592~638年)に大伴連が勧請したことが始まりと伝えられています。(参考:岡太神社・大瀧神社パンフレット)
また奈良時代の僧「泰澄大師」により、719年に「大滝児権現(おおたきちごごんげん)」と称し別当山大瀧寺を創建されたと伝わります。この大瀧寺の創建から数えても、なんと1300余年の歴史があることになります。同じく「泰澄大師」が白山を開山し平泉寺を創建したのは717年であり、岡太神社・大瀧神社はその平泉寺の末寺として栄えました。
718年から1300年以上続くと言われる「紙と神の祭り」が毎年5月3日~5日に執り行われます。祭礼では「奥の院」から神輿が渡御し、紙能舞や紙神楽等の伝統芸能が奉納されます。期間中は和紙の里通りで様々なイベントも開催されるので大変おすすめです。
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白山平泉寺 / 平泉寺白山神社
養老元年(717年)に泰澄大師によって開かれたと伝わり、白山信仰の越前側の拠点となりました。平安後期には天台宗比叡山延暦寺の末寺として発展しました。天正2年(1574年)、織田信長方に属していた白山平泉寺は、越前の一向一揆勢に攻められ全山が焼失、多くの坊院跡が山林や田畑の下に埋もれました。
平成元年(1989年)から始まった発掘調査によって、当時の遺構がそのまま平泉寺区の地中に埋もれていることが判明。遺跡の広大さや保存状態が良好であることから、旧境内全域が国史跡に拡大指定され、名称も「白山平泉寺旧境内」となりました。境内は一面に緑の美しい苔で覆われ「苔宮」「苔寺」とも呼ばれます。
信長、秀吉、家康も認めた越前和紙!明智光秀や滝川一益の逸話も!
越前和紙はその高い品質から、古くから公家、武家に用いられてきました。
岡太神社・大瀧神社近くの三田村家には織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という戦国の三英傑が越前和紙の流通を安堵した印が残っています。
また明智光秀の軍記物「明智軍記」には、信長に仕える際に「大瀧ノ髻結紙三十帖府中ノ雲紙千枚」、つまり越前和紙を献上したという記述があります。
織田四天王の一人である滝川一益は、越前攻略の際、「大滝城」を落城させ、記念に鐙(あぶみ)を埋めました。この鐙は後に掘り起こされ、岡太神社・大瀧神社の宝物となっています。岡太神社・大瀧神社の裏山にある同神社の「奥の院」辺りが「大滝城」の城跡であり、「滝川一益あぶみ埋蔵の地」碑があります。
Column
福井には織田信長ゆかりの地がたくさん!
織田信長と聞いてイメージするのは?岐阜県?愛知県?いやいや!!実は福井県にも織田信長ゆかりの場所が多数あるんですよ!!
戦国ファンならずとも、これらを知ったら福井に旅行に行きたくなる!!そんな興味深くも意外な「織田信長ネタ集」を一挙ご紹介します!!福井人もあまり知らないネタも多いので、福井人相手にも自慢出来るかも⁉(笑)
NHK大河ドラマ「光る君へ」にも越前和紙は何度も登場!
2024年NHK大河ドラマ「光る君へ」では、紫式部が唯一京都を離れ越前に住んでいた時期としての「越前編」がありました。紫式部が住んでいた武生は、越前和紙の里にとても近く、ドラマの中でも越前和紙を作る職人が登場し、京都に戻った後にも越前和紙が登場していましたね。紙は物書きの紫式部にとって触れる機会も多く重要であったはずですし、おそらく越前滞在時には越前和紙も手に取っていたこともあったのではないでしょうか。紫式部が越前和紙の里を訪れたという記録はありませんが、当時既に存在していた岡太神社や大瀧神社を訪れていたかもしれませんね。
ドラマの終わり部分に紹介される「紀行」でも越前和紙の里、岡太神社・大瀧神社が紹介されました。
NHK大河ドラマ「光る君へ」紀行 第25回「福井県越前市」
Column
越前和紙の里に近い武生に住んだ紫式部
「源氏物語」の作者、紫式部。越前和紙の里に近い「武生(たけふ)」は、紫式部が一時期住んでいた街なのです!2024年大河ドラマ「光る君へ」の主人公でもあり、武生がある越前市は今、紫式部ゆかりの地としてたいへん盛り上がっています。越前市・武生が誇るグルメも紹介しますよ!
和紙の里のスポットを紹介!
「越前和紙の里」にあるスポットの数々を以下のマップにまとめてみました。
歩いて回ることの出来る範囲にありますよ。
先に紹介したスポットの他に、紙すき体験やお土産品を購入することが出来る「パピルス館」、和紙の歴史等を知ることが出来る「紙の文化博物館」、伝統工芸士の技を実際に見学できる「卯立の工芸館」、越前和紙の里の街並みを一望出来る「秋葉山展望台」もぜひ組み合わせて巡って頂きたいと思います。
秋葉山展望台からの景色は「美しい日本の歴史的風土100選」にも選ばれており、大変おすすめです!僕はこの景色を初めて見た時は、あまりの美しさに「ウィーンの丘から見えた街並みの日本版だ!」と思ったくらいの衝撃、感動がありました。
また五箇の街を歩くだけでも「1500年前から続いている、今も生きている歴史の中を歩いているんだ…!」という空気を感じることが出来ると思います。
- 岡太神社・大瀧神社
- 上宮本社(奥の院)
- 越前和紙の里 パピルス館
- 越前和紙の里 紙の文化博物館
- 越前和紙の里 卯立の工芸館
- 秋葉山展望台
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越前和紙の里に行くには「越前市500円定額タクシー」で!(2024年度版)
東京や大阪等の「車社会ではないエリア」から「越前和紙の里」への観光を検討されている皆様に朗報!
なんと特定のスポット間を片道500円で乗ることが出来る「定額タクシー券」が越前市各地の施設にて販売されています。新幹線 越前たけふ駅、武生駅(旧JR北陸本線/現ハピラインふくい)からでもご利用(乗車)が出来ますよ!
どれくらいお得かというと、「1乗車3000円前後」程度する距離でも「500円」で乗れるくらい超お得です!もちろん、ご家族・友人の複数名で乗っても「500円」ですから、迷いなく気軽に移動、観光することが出来ますよ。
最後に
- Tomo&Yasu
- いかがでしたか?実は岡太神社・大瀧神社は僕の中での「KING OF 福井」なのです!Uターン後にこの神社を知り、初めて訪れた時は本当に驚き感動しました。すっかり魅せられてしまい、様々な時代に岡太神社・大瀧神社や越前和紙の里がどう関わっているのか、越前市の人達といつも情報交換をしていたことを思い出します。今回はその数年間の集大成として書かせていただきました!今までに書いたブログ記事の中にも随所に登場するので、是非読んでみてくださいね!