福井の「水ようかん」食べ比べ。美味しさの秘密や、お土産にピッタリのオススメをご紹介します。
福井県民の冬のソウルフード「水ようかん」。冬になると、県内200を超える和洋菓子店で水ようかんが販売され、店ごとに異なる味わいやのどごしが楽しまれています。福井ならではのお土産にオススメの、いろいろ食べ比べしたくなる逸品をご紹介します。
なぜ福井は「冬に水ようかん」?
そもそも「水ようかん」とは、寒天と砂糖を煮溶かし、小豆(こしあん)を加えて冷やし固めた和菓子。全国的に食べられている練りようかんよりも水分量が多めで、寒天と砂糖の量が少なく、みずみずしいつるりとした食感と優しい甘さに仕上がっています。
大野市や嶺南の一部地域では「丁稚(でっち)ようかん」の名で親しまれ、他の地域の水ようかんに比べて厚みがあるのが特徴。福井県民は、生まれ育った地域によって水ようかんの“なじみの味”があります。
そんな水ようかんを、福井県民はなぜ冬に食べるのでしょうか?
福井市の水ようかん専門店「えがわ」の専務取締役、江川真紀子さんにお話を伺いました。
「水ようかん」はどのようにして生まれたのでしょうか?
また、なぜ「冬」なのでしょうか?
保存技術が発達した今なら、冬以外も作れないのでしょうか?
- 「えがわ」専務取締役・江川さん
- 冬以外の季節に作ったことがないのですが、同じように作ることはできないと思います。福井の冬の寒さを利用して冷まし、固めることによって、おいしい水ようかんができあがるんですよ。伝統を守っています。
水ようかんができるまで
お話を伺った「えがわ」の水ようかん製造工場を実際に訪ね、水ようかんができるまでの工程を見学してきました。
まずは、水ようかんのもとになる液づくりから。
湯気が立ち上る大きな釜に、材料となる寒天、小豆、黒糖を昔から変わらない配合で入れ、ゆっくり丁寧に40~50分混ぜながら炊きます。
炊きあがったあつあつ水ようかん液を桶に移して小分けにし、柄杓(ひしゃく)で絶えずかき混ぜながら、40~50分かけてほどよい温度まで冷まします。
混ぜが足りないと小豆と寒天が分離してしまうため、特に根気の要る作業。製造のピークとなる年末ごろは、床一面に桶が並ぶのだそうです。
ようかん液を専用の機械に充填し、箱に流し込んでいきます。
液が冷えきらないうちに手早く流し込まないとやはり分離してしまうため、スピードが勝負です。
流し込んだ水ようかんを冷蔵庫でさらに30~40分おき、十分固まるのを待ちます。
箱に直接流し込む一枚流しのものは、専用の型を使って手作業で切り目を入れています。木ベラですくいやすく食べやすいよう、考えられているのですね。
一つ一つフィルムをのせ、箱を閉じれば、福井の冬に欠かせない「えがわの水羊かん」の完成です!
「えがわ」の店頭に並ぶほか、スーパー、土産物店、オンラインショップでも販売。人々の冬のだんらんを彩っています。
自分好みの一箱を探そう!お土産に買って帰りたいオススメの水ようかん
水ようかんは、固さ、甘み、パッケージがお店によってさまざまで、福井県民それぞれ自分の好みの一箱があります。
編集部が食べ比べた結果をもとに「甘さ・みずみずしさ・黒糖の風味・小豆の風味」を5段階評価した「水ようかん分析グラフ」を作成。好みに合う水ようかん探しをお手伝いします。
※紹介は五十音順、すべて店頭価格
御菓子司 あまとや
黒糖の香ばしさとコクをしっかりと感じられる「水ようかん(大)」(520g・税込850円)。
みずみずしい口あたりと小豆の風味とのバランスが絶妙で、もう一口、と手をのばしたくなる飽きのこない仕上がりです。
甘さ:★★★・・
みずみずしさ:★★★★・
黒糖の風味:★★★★・
小豆の風味:★★★★・
基本情報
御菓子司 あまとや
<住所>福井県福井市つくも1-4-10
<TEL> 0776-36-2719
<営業時間>9:00~19:00
<定休日>水曜
御菓子司 栄太楼
栄太楼の「水ようかん(大)」(220g×2パック・税込900円)は、黒糖、白ざら糖のほか、水あめの原料でもある麦芽糖を使用することで、風味も豊かな奥行きのある甘さに。
舌触りはなめらかで、丁寧に漉した餡がすっと溶けていく上品な後味です。
甘さ:★★・・・
みずみずしさ:★★★★・
黒糖の風味:★★★・・
小豆の風味:★★★・・
基本情報
御菓子司 栄太楼
<住所> 福井県福井市二の宮4-4-5
<TEL> 0776-22-1994
<FAX>0776-21-8070
<営業時間>9:00~18:00(日曜・祝日は~17:00)
<定休日>火曜
えがわ
「つるん」とした食感と喉越しにこだわり抜いた「えがわの水羊かん(大)」(520g・税込850円)。
寒天の弾力が感じられつつ、口に入れると品よく香る黒糖に、きめ細かいこしあんのなめらかさが滋味深い一品です。
甘さ:★★・・・
みずみずしさ:★★★・・
黒糖の風味:★★★・・
小豆の風味:★★★・・
御素麺屋
木ベラですくいあげた時の、どっしりとした厚みに心躍る「おそうめんや一枚流し(こし)」(税込1,296円)。
濃厚な小豆と黒糖を感じるややもっちりとした口当たり。存在感のある味わいでいて、餡がほどける後口は軽くさっぱりとしています。
※1月上旬からはつぶあん入りの「おそうめんや一枚流し(つぶ)」に切り替わります。
甘さ:★★★★・
みずみずしさ:★★・・・
黒糖の風味:★★★★・
小豆の風味:★★★★・
基本情報
御素麺屋
久保田製菓
甘納豆専門店として創業し、豆を知り尽くした職人が作る「久保田の水羊かん」(450g・税込660円)は、小豆の風味とまったりとした舌触りを堪能できます。
甘さは繊細で、とろける後味。あんこ好きはぜひ味わってほしい一品。
甘さ:★★・・・
みずみずしさ:★★★・・
黒糖の風味:★★★・・
小豆の風味:★★★★・
基本情報
久保田製菓
二幸庵
二幸庵の「水ようかん」(250g・税込648円)は、程よいみずみずしさがありつつ、餡のねっとり感とまろやかな甘さも併せ持ついいとこどり。ほどけるような口どけよりも、練りようかん寄りのぷるんとした食べ応えを求める人にオススメ。
甘さ:★★★・・
みずみずしさ:★★・・・
黒糖の風味:★★★・・
小豆の風味:★★★・・
基本情報
二幸庵
村中甘泉堂
村中甘泉堂の「水ようかん」(400g・821円)は、甘さとみずみずしさが絶妙なバランスで、わずかにもっちりと寒天を感じられる舌触り。つるりとした喉越しの奥に、キレのよい黒糖が後をひきます。
甘さ:★★★・・
みずみずしさ:★★★・・
黒糖の風味:★★★★・
小豆の風味:★★★・・
基本情報
村中甘泉堂
<まとめ>
冬の福井の代名詞ともいえる「水ようかん」。お気に入りは見つかりましたか?
多くのお店ではお取り寄せも対応しています。おうちでも、ぜひ福井の水ようかんを楽しんでみてください。
編集部作成「水ようかん分析グラフ 」まとめ
甘さ | みずみずしさ | 黒糖の風味 | 小豆の風味 | |
御菓子司 あまとや | ★★★ | ★★★★ | ★★★★ | ★★★★ |
御菓子司 栄太楼 | ★★ | ★★★★ | ★★★ | ★★★ |
えがわ | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★ |
御素麺屋 | ★★★★ | ★★ | ★★★★ | ★★★★ |
久保田製菓 | ★★ | ★★★ | ★★★ | ★★★★ |
二幸庵 | ★★★ | ★★ | ★★★ | ★★★ |
村中甘泉堂 | ★★★ | ★★★ | ★★★★ | ★★★ |
【福井駅周辺】水ようかんをお土産に買うならここ
福井駅周辺にある土産店には多種多様な福井の逸品が揃いしています。冬12月~2月頃にお土産屋さんを探せば必ず水ようかんが並んでいるはず。お土産用には、真空パックになっていて液ダレしないタイプのものがオススメです。
- お土産・ギフト専門店 かゞみや(福井駅前店)
- 創業六十余年、「ありがとうございます。かゞみやでございます。」のキャッチフレーズでおなじみの老舗ギフト店。「食」を中心に、豊富な…
- 詳細を見る
- 福井市観光物産館 福福館
- ふるさと福井の観光情報はもちろん、福井県内ならではの商品を販売しています。毎週かわる市町PRコーナーや季節を感じる企画販売、7つの…
- 詳細を見る
- 福人喜 ハピリン店
- 福井駅西口のハピリンの2階にあるセレクトショップ。福井県中の工芸品や食品、地酒の他、福井ならではであり、かつ、カワイくデザインさ…
- 詳細を見る
もっとみる
福井駅周辺で買える美味しい福井土産はコレ! 地元民おすすめの定番おみやげから、ユニークな一品までご紹介します。
JR福井駅周辺は、福井県内の美味しいお土産の宝庫! 王道の羽二重餅やそばはもちろん、福井ではおなじみの珍味や地酒、進化系スイーツまで、様々なお土産が揃います。自宅用はもちろん、友人や大切な人にも贈りたい、人気の福井土産をご紹介します。
福井の厳しい寒さが寒天を固めるのに適していたこと、かさ増しした糖度の低い水ようかんは夏場の保存が難しかったことから、福井独自の「水ようかん文化」は関西に近い嶺南から嶺北へと広まっていったとされていますね。