タケフナイフビレッジに潜入取材!職人たちのものづくり精神に触れてきました。
一般家庭ではもちろん料理人の間で話題の「越前打刃物」。
現在日本だけでなく、海外からも高い評価を受けています。
福井県越前市にある「タケフナイフビレッジ」は、複数の刃物会社が運営する歴史ある協同組合。
在籍する職人の多数が伝統工芸士の認定を受けています。
こちらは鍛冶や研ぎ職人の作業風景を無料で見学できる全国でも珍しい施設。
2020年にできた新館では、ナイフや包丁・鎌などの刃物を現地価格で購入できるほか、
包丁の常設展示室がSNSでも話題沸騰中なのだとか。
越前打刃物の歴史を受け継ぐタケフナイフビレッジさんを徹底的に取材してきました!
- ライター:はるこ
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- タケフナイフビレッジ
- RYUSEN FACTORY&STORE(龍泉刃物)
- 柄と繪
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タケフナイフビレッジ ~まずはその歴史から!~
昭和54年に「伝統工芸品」として国の指定を受けた越前打刃物ですが、
さびにくいステンレス素材や安価な型抜き刃物の流通などによって、一時衰退に陥ったことも。
刃物製作所の多くは家族経営の小さな工場で生産作業を行っており、やむなく廃業するところも少なくありませんでした。
その苦境を打開すべく立ち上がったタケフナイフビレッジ。
よりよい商品を生み出すため、後継者を育てるため
一人3,000万円の借金を背負い、1993年に共同工房「タケフナイフビレッジ」を設立。
複数の刃物会社が働く共同工房を一般公開したことで、閉鎖的なイメージの伝統産業を
「産業観光」へと生まれ変わらせることに成功しました。
Column
越前打刃物とは
越前打刃物(えちぜんうちはもの)は、福井県越前市で作られている金工品です。
700年もの歴史があり、京都の刀匠・千代鶴国安が、刀剣制作のための良質な水を求めて府中(現・越前市)にたどり着き、近隣の農民のために「鎌」を作ったことがきっかけだと言われています。昭和54年には打刃物業界では初めて、「伝統的工芸品」として国の指定を受けました。
越前打刃物の特徴は、包丁の「二枚広げ」技法。通常1枚のものを2枚同時に重ねて打つことで鉄の温度が下がりにくくなり、品質の良い刃物が出来上がります。
日本古来の火づくり鍛造技術・手研ぎで職人たちが一本一本丹精込めて作る包丁の切れ味は抜群!
さっそく新館へ!
特徴的な2つの屋根が並ぶ建物は2020年に新設された、ショップ&包丁のオブジェが常設された場所。
ショップでは
一般家庭で使われる包丁から、料理人の方向けのナイフ、鎌など、たくさんの商品が陳列。
各社の製品はもちろんのこと、共同で制作したTakefu Knife Villageブランドの製品の販売も行っており
素材、種類、用途などお客様のニーズに合った製品が揃っています。
フォトジェニックな常設展示場
ショップの隣には壁や床がガラス張りになった、様々な包丁が展示された空間が広がります。
まるで包丁が宙に浮いている!?と感じるような不思議な空間。
2006年に金沢21世紀美術館で展示された川崎和男氏の作品を再現したもので
「切る」という行為をそのまま空間に表現されています。
なんとも芸術的で、洗練された美しさに目を奪われます。
リフレクション写真を撮りに訪れる方も多いのだとか。
工場見学
「共同工房」であるタケフナイフビレッジの工房。
その中で複数の刃物会社が、それぞれ自社製品の製造を行っています。
共同工房内には作業風景を一望出来るスロープがあり、
常時開放してあり、見学はなんと無料!!
ここまでの規模の工場見学を無料でしている施設はなかなかないのではないでしょうか?
職人さんのモノづくりにかける熱い情熱を感じられる空間です。
※日曜祝祭日は職人が休みのため、工場見学は平日がおすすめです。
Column
福井県丹南エリアは全国屈指のものづくり集積地!
福井県にある越前市では、越前打刃物・越前箪笥・越前焼、越前和紙、鯖江市では眼鏡・繊維といった地場産業が集積しています。2023年ではファクトリーショップが34店舗オープン。
タケフナイフビレッジのように工場見学をできる貴重な体験ができる施設もあります。
例年10月には鯖江市、越前市、越前町で開催される体感型マーケット「RENEW(リニュー)」も開催!普段出入りできないものづくりの工房を開放し、実際のものづくりの現場を見学・体験できます。地域を越えて、たくさんの工房・企業が参加する一大イベント。ぜひチェックしてみてください!
職人さんに話を聞いてみた!
今回なんと特別に職人さんと直接お話をさせていただきました!(なかなかないですこんな機会!)
- 伝統工芸士・戸谷さん
- はじめまして、戸谷です。研ぎ師をしています。
- はじめまして、戸谷さんはこのお仕事に就いてどのくらいですか?
- 伝統工芸士・戸谷さん
- 28歳の時に脱サラして現在で20年目ですね!
- ええ!最初は会社員だったんですか??職人になった経緯は?
- 伝統工芸士・戸谷さん
- その会社でがむしゃらに働いても、給料が上がる見込みが全くなかったからです!(笑)
祖父と父が刃物職人だったということもあり、一度やってみるか~という気持ちでこの世界に入りました。
- (職人さんというから正直お堅いイメージだったのですが、意外過ぎるほどフランク!)
会社員だった時と比べて今どうですか?
- 伝統工芸士・戸谷さん
- 今のほうが格段に楽しいですね!
自分が丹精作ったものがその場で売れて、喜んでくれて。
「切れ味がいい!」と褒められるとやはり嬉しいです。やりがいを感じる瞬間ですね。
- この仕事に就く為に必要なことはありますか?どんな人が向いていますか?
- 伝統工芸士・戸谷さん
- コツコツ続けられる心、センス、本当にいいものを見分けられる力ですね。
センスはいつでも磨くことができる!
職人の世界は満足しない心が大事。「一生勉強!」と先輩職人がいつも言っています。
- 正直ここまで工場見学を見せてくれる施設ってなかなかないですよね。
伝統工芸というと「技術は見せないぞ!」というイメージ…
- 伝統工芸士・戸谷さん
- それだと衰退する一方ですからね。
一般公開することで、伝統産業の閉鎖的なイメージを完全に払しょくして
今は地元はもちろん、県外から職人希望の人が集まってきます。
- 伝統工芸士・戸谷さん
- 伝統工芸は今後継者がいなかったりと衰退の危機にあるものもたくさんあります。
けど越前打刃物の売り上げはどんどん上昇しています。
それはニーズに合わせた生産をしているから。
時代が変わったら素材も変わる。
伝統にこだわりすぎず(伝統も大事だけれどね!)、今の時代に合ったものを作らないと。
- おお~!長く受け継がれてきた技術の品が、これからも多くの人のもとに届いてほしいですよね。
たくさんお話聞かせていただきありがとうございました!
自分だけのオリジナル刃物も!体験教室
タケフナイフビレッジの人気コンテンツの1つ「体験教室」!
なんと現役職人さんが直接指導してくれるとのこと。
個人向けの「包丁教室」では、材料を赤めてハンマーで鍛え打つ「火造り鍛造」から始まり、
最後に柄を付けて仕上げる所まで、ほとんどの工程を体験できます。
自分だけのオリジナル刃物はもちろん、
贈り物、記念に作る方も多いのだとか。
団体旅行・教育旅行向けには、「キーホルダー教室」「ペーパーナイフ教室」なども。
体験教室で作ったものは全て当日お持ち帰り可能!
※体験教室は事前予約が必要(詳細は公式ホームページで)
基本情報
タケフナイフビレッジ以外にも、
越前市にある池ノ上町にある10の工房が集まっている地域・通称「刃物の里」 から
2つのスポットをご紹介します!
龍泉刃物(りゅうせんはもの)
越前市の南東部、龍神山の麓にある池ノ上工業団地にある、「 龍泉刃物」。
「切れ味」はもちろんの事、常に「美しさ」と「使いやすさ」を追求した企業です。
産地内でもいち早くステンレス鋼の包丁の製品化に着手し、
ステーキナイフやフォーク・スプーンなどカトラリー類の製造、レターオープナーなど包丁以外の新商品も。
こちらの商品は日本国内はもちろん、世界トップレストランのシェフや料理愛好家にも多く使用されていることでも有名です。
またグッドデザイン賞も過去5回受賞するなど、その名を全国に轟かせています。
2019年には直営店「FACTORY&STORE」を本社そばにオープン。
越前打刃物の魅力を実際に見て触れて感じられる空間になっており、
販売だけでなく、体験や見学なども可能です。
MY包丁づくりや研ぎ方スクールなども
鉄を熱して打つところから刃つけ作業までをすべて行う、本格的なステーキナイフ作り体験や
オリジナルのバターナイフ・アイススプーンを作るワークショップも開催。
普段使いの包丁を、職人のレクチャーを受けながら実際に研ぐ教室も。
職人の技術を体験しながら、世界にひとつだけのオリジナル包丁を作ってみませんか?
柄と繪(えとえ)
県内で唯一、和包丁の柄(え)を専門に制作している山謙木工所が、
2020年に地元の伝統工芸である越前打ち刃物を紹介するギャラリーをオープンしました。
木の香りが漂う清潔感ある店内には、
様々な刃物や蒔絵がショーケースに陳列されています。
柄に漆絵や蒔絵を施したオリジナル作品は芸術的な美しさです。
またこちらでは予約制で漆絵体験も行っています。
自分だけのオリジナル装飾を施した包丁は、一生ものになること間違いなしです。
※予約等は公式HP等を参照
まとめ
いかがでしたか?
越前打刃物の深い歴史を知れたり、職人さんとお話できたりとなかなか貴重な体験ができた楽しい取材でした!
福井の丹南エリアには伝統工芸を間近に感じられる企業やスポットが多くあります。
ぜひ遊びに来てくださいね。
写真撮影だけでも構いません、たくさんの人に知ってほしいのでぜひ気軽にお越しくださいね。